その汎用性の高さから、様々な業界で注目されているChatGPT。この記事では、不動産業界での活用事例をご紹介します。
物件紹介文の作成
アメリカオハイオ州の物件を管理しているJJ・ヨハネス氏は、自身の管理する物件の紹介を、ChatGPTに書いてもらったそうです。ChatGPTに物件の特徴をいくつか伝え、紹介文の作成を依頼するとChatGPTはものの5秒で文章を生成。いくつかの手直しや編集を行ったとのことですが、自分で書くのに1時間以上かかっていた作業がとても楽になったとCNNに語っています。
魔法のように迅速な文章生成は、まさしくChatGPTが得意としていることです。かつ、盛り込んでほしい情報をきちんと伝えることで、それに則った文章を作成してくれます。魅力的に見せることが肝となってくる紹介文の依頼では、自分では出てこなかった観点、語彙や表現の文章を出してくれる可能性があるもの有用な点のひとつです。
メール文面のリライト
マイアミで不動産取引をしているアンドレス・アシオン氏は、ChatGPTをメール文面のリライトに使用したとのこと。ある日プレコンストラクションの住宅を購入した顧客から届いたのは、「窓が開かない」という連絡。顧客は施工会社へ何度も連絡を試みたのですが、施工会社からは一切音沙汰がない状況でした。そこでアシオン氏はその顧客の文面をChatGPTへ伝え、「責任問題を強調してリライトする」ように指示。それが法的な問題であるというChatGPTの文面をメールで受け取った施工会社は突然連絡を返すようになったとのことです。
なかなか書く機会のない内容の文面を作成するのは、慣れていないため質を高くしづらかったり、時間がかかってしまったりします。そういったシーンもChatGPTの出番かもしれません。多大なデータを学習しているChatGPTであれば、書きなれない文章、しかも相手の責任問題を問うようなシビアなケースの文章も上手に書いてくれるでしょう。もちろんその文面は法的な正しさが保証されているわけでは一切ありませんので、使い手による最終的なチェックは不可欠です。
ブログ文面の編集
ペンシルバニア州の不動産業者マイケル・セヴァンズ氏は、顧客接点を持つためにブログを更新しています。セヴァンズ氏はChatGPTを「編集者」として活用。自らの作成した文章をChatGPTに伝えたうえで、文章を「きれいにする」「簡潔にする」「ユーモアを加える」といった依頼をしています。
先程まで出てきた事例は、諸条件を提示した上で0から1をつくってもらうものでした。今回は、自身のつくった文章をより良くする、1から10にしてもらうケースです。文章の推敲、構成はどうしても時間がかかってしまいますし、「ユーモアを加える」に関しては、時間をかければ出てくるという類のものではありません。「編集者」やそれに相当する人物を確保するのは大変ですし、ちょっとした修正をしてもらいたいならなおのことです。これもChatGPTの特性がうまくはまっている事例といえるでしょう。
広告コピーのブラッシュアップ
アメリカ、ハンプトンズの不動産業者マラ・サンダー氏は、広告コピーにChatGPTを用いています。「ブリッジハンプトンにある2エーカーのプールとテニスコートのある家の広告文を書いてほしいと頼んで、他に強調したい特徴をリストアップしました」「そうすると、それらを素晴らしい文書に編み込んで、実際に使えるものにしてくれました。」とのこと。さらには、コピーのトーンを変えるのにも用いています。「『これをミレニアル世代向けに書いて』とか『面白くして』といったことを頼みます。」
こちらも1→10のケースですね。通常「ミレニアル世代向けに書く」といったことをする場合、どういった内容が刺さるのかを調査する、もしくは当て推量で想像することから始める必要がありますが、それらを飛ばして文を作成し、試してみることができます。多岐にわたる業務を抱える担当者がより効率よく働くことの助けになりそうです。
マーケティング戦略の立案
サンダー氏は加えて、試しにマーケティングプランの作成を依頼してみたそうです。すると、ボットは彼女に、デジタル、印刷物、ソーシャルメディアのアウトリーチを含むキャンペーンの詳細を提示しました。「ダイレクトメールからオンラインデジタル広告、ソーシャルメディアまで、理想的な割合を提案してくれた」とサンダー氏は語っています。
戦略、計画立案もChatGPTはすらすらと作成してくれます。この作成を依頼する場合も、どういった前提条件なのかを丁寧に伝えるとより質の高いものを出してくれるでしょう。
外出先でのローン計算
最後にご紹介するのは、一風変わった興味深い事例です。マイアミの不動産業者フランク・トレレス氏は、「外出先でのローン計算」にChatGPTを用いています。本来であれば数式や計算ツールを準備する必要のある複雑なものですが、顧客と車に乗っているときにそれらはありませんので、ChatGPTに尋ねるといいます。「クロージング時にオリジネーションポイント(※ローンを組むための手数料)を2つ加えて、25年間の償却スケジュールを持つ7.2%の金利で1,400万ドルの物件を購入する場合の住宅ローンの支払いはいくらか?」と訊くと、2秒で答え、かつどうやってその答えに至ったかかも説明してくれたそうです。
複雑で手間のかかる、準備の必要なものを外出時にぱっと訊ける、というのは面白い観点です。ChatGPTが計算を誤るケースも往々にしてありますので、もちろんこれらの計算に関しても使用者によるチェックは必要です。しかし、外出時に概算を出すための用途としては十分でしょう。
AIに出す指示のことを「プロンプト」と言いますが、プロンプトをより精緻につくればつくるほどAIの力量を引き出すことができます。このように優れたプロンプトをつくることはプロンプトエンジニアリングと呼ばれています。ローン計算のための優れたプロンプトを予め作成してメモしておくことで、外出時でもスマホですぐにAIに質問し回答を引き出せます。ローン計算以外にも、法律関連の質問等にも応用できそうですね。
おわりに
この記事では、不動産業界でのChatGPTを用いた例を見てきました。ChatGPTでできることは、世界中で、現在進行系で新しく発見されていっています。実際に業務に使ってみた人々によって、不動産業界での便利な使いみちもこれから更に発見されていくこととおもいます。こちらの記事ではChatGPTの始め方を解説していますので、ぜひ新しい可能性を試してみてください。
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ソース
https://edition.cnn.com/2023/01/28/tech/chatgpt-real-estate/index.html
https://www.cbsnews.com/news/chatgpt-work-real-estate-finance-health-care-how-workers-use-it-jobs/
https://www.inquirer.com/real-estate/chatgpt-real-estate-agent-home-listing-sell-20230213.html